明日の記憶【映画】 それでも生きていて欲しい @映画12
2006年公開 日本映画
2004年 荻原浩の小説。2005年 第2回本屋大賞 第2位。第18回山本周五郎賞受賞。
渡辺謙が 2004年ハリウッドで出会った本を読み、映画化を熱望する手紙を萩原浩に送る。主演、エグゼクティブプロデューサーとして全国行脚した効果で 感動の涙が全国に広がりヒット。
第30回日本アカデミー賞優秀作品賞受賞、渡辺謙が 最優秀主演男優賞、樋口可南子が優秀助演賞、大島ミチルが優秀音楽賞受賞。
2010年 秋
オレンジ色の夕日があたって ぼぉ~っとしている佐伯雅行(渡辺謙)。
キッチンで写真を貼り付けたパネルを持って 妻の佐伯 枝実子(樋口可南子)は 車椅子の夫のそばに行く。
「芽吹(孫のめぶき)の新しい写真よ。」
と言って 二人で美しい夕日が見える窓に並んで座る。
“えみこ”と描いてある佐伯が造った湯呑でお茶を飲みながら。
そこは佐伯が暮らすことを望んだ場所だった。
2004年 春
仕事人間の営業部長 佐伯は 会社で園田(田辺誠一)に
「プレゼン50本作ってこい」とはっぱをかけている。
「でたよ、部長の100本ノック」安藤 俊彦(袴田吉彦)
ギガフォースとの大きな契約が決まり、仕事は順調。
しかし、娘 梨恵(吹石一恵)の結婚相手 伊東直也(坂口憲二)に会いに行く途中 めまいのような体調不良に襲われる。
ある日 お客様の河村 篤志(香川照之)との打合わせを忘れたり、ランチ中に部下のことが分からなくなったりする。
物忘れが激しく、同じものを何度も買ってくるので 妻に
「病院に行こう。体調悪くして結婚式に出られなくなったら、一生恨まれるわよ」と言われ、診察を受ける。
医師 吉田武宏(及川光博)からは”若年性アルツハイマー病の初期症状”と診断される。
気が動転した佐伯は 病院の屋上から飛び降りようとするが、父もアルツハイマーである医師に
「あきらめないで欲しい」と、説得される。
屋上からの階段の途中で座りこみ
「俺が俺じゃなくなってもいいのか?」佐伯
「私がいます。私がずっとそばにいます。」枝実子
2人で泣きながら病気と向き合うことを決める。
病気に立ち向かう
佐伯は 日記を書き、あらゆる事柄をメモするが、通いなれた取引先の場所が分からなくなり時間に遅れて、お客様の河村 篤志(香川照之)に怒られる。
枝実子は将来を心配して
「お金が必要なの」と、友達の浜野喜美子(渡辺えり子)に仕事を斡旋してもらう。
会社では、佐伯がアルツハイマー病であることが園田(田辺誠一)によって分かってしまい、長谷川局長(遠藤憲一)に希望退職を勧められる。
しかし娘の結婚式までは無職になりたくないと頼み込んで なんとか不祥事社員ばかりが集められた資料管理課に残る。
会社を退職する
娘の結婚式が無事に終わり、生野 啓子(水川あさみ)や部下達に別れを告げて退職する佐伯。
初孫も産まれ、陶芸も再開し、幸せな日々が流れていた。
施設に預けるべきだという友達の浜野喜美子(渡辺えり子)の言葉を断るが 資料だけもらって家に帰り 本棚に入れる。
枝実子は家計を支え、夫に気丈にふるまうが 庭でひとりで泣く。
しかし、病気は確実に進行して、ある夜 枝実子に疑心暗鬼になる。
病気のせいとは言え、枝実子の不満も爆発し 佐伯を罵倒する。
佐伯は妻に手をあげて、枝実子はケガをする。
佐伯はショックをうけて暴れ、枝実子は病気がしたことだと慰める。
介護施設を見学に行く
佐伯は枝実子が持ってきた介護施設の封筒を見つけ、黙って見学に行く。
「いいですね。今度 妻と来ます」佐伯
家に帰る途中 結婚する前の枝実子の幻影に呼ばれて森に入り、かつて枝実子と知り合った陶芸教室に行く。
そこで陶芸教室の先生 菅原卯三郎(大滝秀治)に会い 夜に酒を飲みかわす。
「みんな俺がボケていると言うが、ボケているかどうかは自分で決める。
人間、生きてりゃいいんだよ。」
朝 目覚めると湯呑ができていて、先生はいなくなっていた。
佐伯を探しに来た枝実子と帰る途中に出会い、妻だと分からなくなっていて名前を尋ねる。
夫に忘れられたことを悟った枝実子は、涙をこらえながら名前を名のる。
「枝実子さんか。いい名前だな。」佐伯
その言葉になぜか救われるように、泣きじゃくる枝実子。
佐伯を優しく支えるように見つめ 一緒に歩いていくのでした。
最後に
今は 珍しくなくなった若年性アルツハイマー病ですが 当時は 少しずつ明らかになってきていた頃ではないでしょうか。
とは言っても、今も本人は勿論 家族にとっても辛い病気には変わりません。
テーマは重いですが、夫婦愛で病気を共有して 生きていきます。
そして 陶芸教室の先生の
「人間、生きてりゃいいんだよ。」の言葉に救われます。
家族が認知症で
「忘れちゃった」と言っていることが多いですが、
「大丈夫。みんな忘れるんだから。誰かが覚えているから」
というと 少し安心した表情になります。
たとえ全てを忘れても 本人らしい優しさや繊細さは変わりません。
ずっと元気で生きていて欲しいのです。
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